アルゼンチンタンゴに出会って間もない初心者や、アルゼンチンタンゴを自宅で練習したい方や、コロナ自粛期間中で外出が難しく、ミロンガで踊る日が待ち遠しい。踊れる日が来たときに以前のように踊れるようにしていたい。

「欲をいえば少しでも上達したい!」

と考えている方へ。リードの仕方ってどんな風にするんだっけ。しばらくヒールで立っていないので、今だとピンヒールで立つことも辛く感じるかもなぁ。“軸と重さ。”基本的な動作も復習しておきたい。また、自宅で簡単なエクササイズなどあれば、こっそり練習したい!と考えていませんか?

本記事では、下記の内容を解説します。私は2010年度のアルゼンチンタンゴダンス アジア選手権で優勝した窪田央といいます。福岡県を拠点にスタジオ・インスピラシオンで、九州の地でタンゴを普及するように日々指導にあたっています。

自粛期間中で身体が鈍っていませんか?簡単な体操から始めてみてはいかがでしょうか。

コロナの影響で、外出する機会がめっきり減ってしまった、という方も多くいらっしゃると思います。その影響で、身体が鈍った。体力が落ちたなぁ・・・。そんなふうに実感されている方も多くいらっしゃると思います。

身体を鍛えるには時間を必要としますが、衰えるのはアッという間です。毎週踊っていた方や、トレーニングをしていた方ばかりでなく、出勤や買い物等での外出が減っただけでも、体力は落ちます。

ちょっと歩くと疲れやすくなったり、階段を登ると息が上がってしまう・・・ひょっとしたら、「よし、身体を鍛えよう!トレーニングしよう!」と考えていませんか?

でも、そのためにジムに通ったり、トレーニングのための道具を買うのは大変ですよね。

どのスポーズジムを選べばよいのか。どんな道具を揃えたらよいのか。大変ではありませんか?

そういった方へオススメしたい、スタジオ・インスピラシオンの“おうちトレーニング”です!!

最近ではYouTubeでも、様々なトレーニングのための動画があります。

・ご自分のレベルに合わせたプログラムを選べる。
・時間と場所に縛られない。
・人目を気にせず、ご自分のペースでトレーニングできる。

以上のような理由から、 動画視聴しながらの“おうちトレーニング”を考えました。

効果を出すためのコツは、

1:無理をしない

トレーニング効果は、1日では出ません。少しづつでも構いませんので、継続することで、効果を感じられると思います。ですから、マイペースでできることをする。調子が良ければ、ちょっとだけ回数や、強度を増やす。 調子の悪い日、キツい時は思い切ってやめる。 (もちろん翌日以降、元気になったら、ちょっと頑張る!)

2:継続するための工夫

1日思いっきり頑張っても、その後1週間休めば、身体は元に戻ります。3日以上、開けないことが理想的です。 そのためには、

・スキマ時間で出来るような、短い時間でできるエクササイズにする。
・着替えや、道具等の準備をしないと出来ないエクササイズは億劫になるので、準備のいらないものを探す。
・習慣化しやすいよう、なるべく同じ時間帯にやる。
・1日サボっても翌日に引きずらないように、あまり自分に厳しくしすぎない。

3:記録する

一番わかっているつもりの自分のことが、実は一番わかっていない、ということもよくあります。昔から、“なくて七癖”などと言ったりしますよね。変化を感じられないと、やる気は続きません!なので

・体重や、サイズを記録する。あるいは、
・写真や動画で変化を記録していく。

きっとご自身が感じている以上に変化があることに驚かれることでしょう。そして、もっとやる気が出てきたり、体力がついたら、回数や強度を増やしていきましょう。きっと身体にも気持ちにも素敵な変化を感じられますよ。

アルゼンチンタンゴを自宅で練習する際に必要な道具や環境について

アルゼンチンタンゴを自宅で練習する際に準備する道具や環境などについてお知らせします。

自宅でアルゼンチンタンゴを練習する際の注意点は、【絶対にケガをしない環境を整える!】です。

例えば、

・脚を大きく動かした時に、家具や壁にあたる
・床と靴下の相性で、滑りすぎて転ぶ
・逆に滑らなさ過ぎて、関節が捻れ、痛めてしまう

このようなことに気をつけなければいけません。それさえ注意できれば、特別な道具を用意しなくてもOKです。私はミロンガで楽しむサロンタンゴを踊るうえで、それほど筋力や、柔軟性は必要ないと考えています。それよりも、『思い通りに自分の身体をコントロールする能力』の方が大切だと考えています。

具体的には

・必要以上に力を入れない、「リラックスする能力」
・自分でしっかり立てる「バランス感覚」
・相手の状態(動きやリード、フォロー)を察知する「アンテナの鋭敏さ(肌感覚の精度)」

この3つが大切になると考えています。もちろんアルゼンチンタンゴを踊るうえで、アルゼンチンタンゴの曲やサロンタンゴの踊り方やマナー、アルゼンチンタンゴの歴史を知ることも大切な要素ですが、それらの知識については、別の機会にお話しいたします。

アルゼンチンタンゴを踊る際に習得したい上記3点の感覚をトレーニングするには、やはり、注意点を知っていた方が 遠回りをせずに上手になれると思います。今回の内容はアルゼンチンタンゴ初心者向けですが『身体をコントロール』するためのトレーニングをYoutubeにご用意いたしました。

とても簡単なエササイズですので是非一度、お試しください。

アルゼンチンタンゴを習うなら、スタジオ・インスピラシオンのYoutubeチャンネルはこちら、https://www.youtube.com/channel/UC1VYkkKuVVVXeNAQxrimCzw

【復習】アルゼンチンタンゴの基本

・アルゼンチンタンゴの【軸】ってなんだろう編

人間の軸についての考え方は難しく、アルゼンチンタンゴを教えている先生によっても、それぞれに考えをお持ちです。

ここでは、 アルゼンチンタンゴダンサーの窪田央が、アルゼンチンタンゴを踊るときのアイデアを、お話ししたいと思います。

1:アルゼンチンタンゴを踊る際の軸の定義

軸とは、正確な説明を省いて、簡単に説明すると “ある物体の中心と地球の中心を結ぶ線” です。雑な説明になって、分かりづらいと思いますが、独楽やヤジロベエのような物体だと、形が変化しないので、イメージし易いと思います。

独楽やヤジロベエと比べると、人間の身体は、常に動き続けているので、軸がイメージし辛いですね。

“なるべく筋肉に力を入れずに立てる所”=“良いバランスを保つために使っている所”だと考えると、軸についてイメージし易くなると思います。

“背骨で立つ感覚” かもしれませんし、別の人にとっては“筒状の身体の真ん中で立つ感覚”かもしれません。人それぞれ、ご自身の分かりやすい感覚を意識されることをお勧めします。理屈っぽく考えすぎると、感じるという力が上手く働かないので、説明を簡単にするため、ここでは“筒状の身体の真ん中” と定義して、話を進めます。

2:軸で動く、歩くとはどういうこと?

例えば、身体の真ん中(=軸)が、足の土踏まずの真ん中に乗っているとして、軸が指先、さらに前に移動して歩くと軸で歩く、という感覚になります。

逆はというと、脚を前方に出して、それから軸を動かす場合、あるいは胸だけ、もしくは骨盤だけ前方に動かし、その後、残りのパーツがついていく歩き方。このようにして動くと、効率が悪く、必要以上に筋力を使うため、疲れやすかったり、痛みやケガにもつながります。もちろんパートナーは、躍りづらく感じることでしょう。

一人で立てないバランスだと、余計な力が入ってしまい、リードやフォローがうまくできなかったり、疲れたりケガをしたり・・・良いことがありません。

一緒にいる人がイライラしていたり、緊張していると、自分も落ち着かない。という経験はありませんか?

緊張は、周りに伝染するのです。逆もよくあることで、自分がリラックスして踊れると、相手もリラックスし易い。前述のような軸を意識しながら、バランスよく踊ることができれば、お互いに気持ちよく、より上手にアルゼンチンタンゴが踊れることでしょう。

1:立ち方

2:踏み替え

・アルゼンチンタンゴの【重さ】ってなんだろう編

アルゼンチンタンゴに於ける「重さとは何でしょうか?」レッスン中やアルゼンチンタンゴ仲間との会話でも、何度も登場するキーワードだと思います。

アルゼンチンタンゴには重さが大切。
ズンズンと重さが伝わってくる感覚。

例えば、あなたが体重計に乗ったときに、表示計に何キログラムと数字が出ますよね。それは確かに重さです。

物には、重力が働きその力が“重さ”と言われます。

それらはアルゼンチンタンゴを踊るときに使われる”重さ”と同じ意味だと思いますか?

その“重さ”について、これから考えていきたいと思います。

アルゼンチンタンゴを踊る時に、重さとよく似た言葉で“床を踏む”、“床を使って歩く”と言う言葉を耳にしたことはありませんか。床を踏むときに、足の筋肉であったり、身体の筋肉を固めて踏みしめるようにして歩くと、それはアクセルと同時にブレーキを踏んでいるようなものです。言葉にすると難しいので、動画でもご説明します。ご安心ください。笑

例えば、自転車でブレーキをかけたままペダルを踏むのは、すごく大変です。ブレーキが強ければ強い程、どんなに踏んでも動かない状態を作り出してしまいます。身体も同様です。動くときにはなるべく余計な力を使わないことが大切です。

ではどうやって身体の力を最小限にして踏むのか?ここで出てくるキーワードこそが、“重さ”です。身体には常に重力がかかっています。この重力、地球の力を利用しない手はありません。自分が何もしなくても常に働いてくれているありがたい存在です。余分な力を抜きバランスを整えることで効率よく、この重力を利用することができます。

自分自身に掛かっている重力を使って、床を踏むことを“重さ”であると、アルゼンチンタンゴダンサーの窪田央は考えています。

体重計の上で、どんなに踏もうがお腹を引き上げようが表示される数字は変わりません。

体感的にはとても変わりますが、実際の体重計に乗ったときの数字ではなく、バランスを整えた上に無駄な力を抜いた状態を効率よく使うこと。これが“重さの正体”だと窪田央は考えています。

あとは、この考え方に少し方向性を与えてあげるだけで動けます。例えば前に行く時は、軸足で後ろに蹴り出すような動きになります。水平方向のみを考えて重力、つまり垂直方向、縦方向の力地球が引っ張ってくれている力を利用しないで自分の足だけで動いてしまうととても大きな力を自分自身で出さなければいけません。

「重力に逆らわず、うまく利用しながら、後は行きたい方へ」

方向性を与えてあげれば、効率よく動けると思います。この感覚をうまく使っていくことで、アルゼンチンタンゴを踊る際の“重さ”が使えてくると思います。

アルゼンチンタンゴの【歩き方】カミナンド

「歩き方ってなんだろう?」

アルゼンチンタンゴをされた経験のある、あなたなら、この“問い”について1度は深く考えたことがあると思います。日常生活でも意識せずに歩いているのに、アルゼンチンタンゴのペアダンスになると、とても難しい。

・テクニックが存在するのか。
・プロだけが知る裏技やコツがあるのか。

アルゼンチンタンゴでは、歩くとき前方だけでなく、横や後ろにも歩きます。正確に言うと”移動”。これを歩きと言ってよいのかどうか微妙なニュアンスもありますが、アルゼンチンタンゴで歩くときの“コツ”はこれまでに話をしてきた“軸”そして“重さ”。このキーワードを使ってご説明していきたいと思います。

私たちは、病気や怪我などでの身体に不具合がない限り、日常生活ではどなたでも普通に歩いて生活をしています。街中を歩いているときに、次は右足を出して身体を移動して、次は左足を出して・・・。そのように考えながら歩いている人はいません。こういった無意識の行動を意識的に再現する事は、時によって、とても難しい作業です。

アルゼンチンタンゴダンサーでもある窪田央のダンスキャリアは、バレエダンサーとしてスタートしました。
詳細は、インストラクターの紹介ページでも記載していますので、ご一読いただければ嬉しいです。https://est-inspi.com/instructor/
バレエやアルゼンチンタンゴのステージでは、たくさんの観客の視線を浴びます。その緊張感の中で、いつも通りに歩くことは、舞台に慣れていない方にとっては、とても大変なことです。

話だけ聞くと可笑しく聞こえるかも知れませんが同じ側の手と足、右手右足が同時に出てしまったり、ロボットのようにギクシャクしたりと言うのは、とてもよくあることなのです。

よく潜在意識、顕在意識の話の中で氷山の一角のような例えをされることがあります。

顕在意識、つまり自分が意識できている部分は海上の氷山、つまり全体の中のほんの1部であり潜在意識、無意識下のコントロールが自分自身の身体や生き方のほとんどをコントロールしている、と言われています。

例えば自転車に乗ることを考えてみましょう。

昔のことで、覚えてない方も多いかも知れませんが、初めて自転車に乗った時、

・どのようにペダルを漕いだらよいか?
・どのようにバランスをとったらいいか?
・目線はどこを見るか?

色々なことを考えながら、自転車に乗れるまでに苦労した記憶をお持ちの方も多いと思います。不思議なもので、一度自転車に乗れるようになってしまうと、バランス感覚の事やペダルの漕ぎ方、目線などはあまり意識しませんよね。その上、本当はやってはいけませんが、よそ見をしたり、話をしながら、音楽を聴きながら、さまざまなことに意識を向けながら“自転車に乗る”という行為そのものについては意識がいかなくなると思います。

歩くときも同じで、

・日常生活において今日は何を買おうかなぁ?あのビルは面白い色だなぁ。あるいは素敵な服だなぁ、などと周りを見ながら歩きますね。右足を出して左足を出してなどと考えて歩く人はおそらくいないでしょう。つまりこれらの行動は潜在意識下でコントロールされているのです。

慣れないことも、何度も何度も繰り返すことによって身体に1度入り込んでしまうと、後は潜在意識がコントロールしていくので、どのように歩いているかなどと言う事は普段は意識しません。

ですがアルゼンチンタンゴを踊るときにはそうはいきません。音を感じて歩かなければいけない。踊るように歩かなければいけない。相手を感じて2人が調和して歩かなければいけない。

こうなると無意識で踊ることができなくなっていきます。そのため普段は何気なくできているはずの歩きがアルゼンチンタンゴというペアダンスになったときに、歩けなくなってしまうのです。特に女性においては後ろに歩くことが多いので尚更ですね。とても難しい。私も最初は戸惑いましたから、お気持ちは理解します。

なぜなら日常生活で後ろ向きに歩く事は、ほとんどないのですから。

皆さんは、赤ちゃんの時にはハイハイをして、つかまり立ちをしてそして歩くと言うことを経験してきているのです。もちろん覚えている方はほとんどいないでしょう。僕も覚えていません。笑

皆さんがこれまで経験したとことは、これからもできる可能性が非常に高い。つまりアルゼンチンタンゴにおいて、歩き方を無意識下に落とすまで、身体に馴染ませることで考えずに歩けるようになります。

そして一つ一つの動き、“軸”や“重さ”を使うことを意識しながらスムーズに移動(歩く)していく。そのときの歩く速度やタイミングをコントロールすることで、音楽やパートナーと調和して歩くということができるようになってきます。言葉での説明は、とても難しいので、映像も提供させていただきます。

より深く知りたい方は、アルゼンチンタンゴのレッスンの際に意識しながら反復練習をしてみたり、分からないところはどんどん質問をして自分自身の歩く質(クオリティ)高めてみてはいかがでしょうか。

自由に歩けるようになることで、よりアルゼンチンタンゴが楽しめると思いますよ!

【動画】自宅で練習するために気をつけたいこと

3:脚の出し方(横)

4:脚の出し方(前)

5:脚の出し方(後ろ)

5:おうちでできるアルゼンチンタンゴ初心者向けの動画、6回目、テーマはクロスです。